すでにいくつものサイトで報じられているように、マイクル・ムアコックのヒロイックファンタジー小説シリーズ、エルリック・サーガの日本語版が復刊、新たに未訳分三作も翻訳されることが発表されました。
(情報元:「BlueMoon: エルリック・サーガ 再刊+続刊」、「Das Wunderreich der Nacht : MICHAEL MOORCOCKの小部屋 : News&更新情報 (2006年1月31日)」など)
出版元の早川書房のサイト「ハヤカワ・オンライン」の「刊行予定 : 2006年3月の新刊」ページによれば、シリーズタイトルを「永遠の戦士 エルリック」と改め、既刊八冊分は二作ずつまとめて四冊にし、未訳の三冊と合わせて、全七冊を三月より隔月で刊行するとなっています。
巨匠ムアコックが描く
壮大なるヒロイック・ファンタジイ
エルリック・サーガ全7巻 刊行開始!3月上旬SF
『メルニボネの皇子』
〈永遠の戦士 エルリック1〉
マイクル・ムアコック/井辻 朱美訳
メルニボネ帝国の落日と皇帝エルリックの旅
立ちを描く表題作と『真珠の砦』の2作収録【刊行スケジュール】
2 白き狼の宿命(同時収録:この世の彼方の海) 2006年5月刊
3 暁の女王マイシェラ (同時収録:薔薇の復讐) 2006年7月刊
4 ストームブリンガー(同時収録:黒き剣の呪い) 2006年9月刊
5 夢盗人の娘(仮題)THE DREAMTHIEF'S DAUGHTER 2006年11月刊
6 スクレイリングの樹(仮題)THE SKRAYLING TREE 2007年1月刊
7 白き狼の息子(仮題)THE WHITE WOLF'S SON 2007年3月刊
以前は「メルニボネの皇子」だけ安田均訳でしたが、今回これも井辻朱美訳に変わるようです。(他が新訳になるのかどうかは不明)
また、「Das Wunderreich der Nacht : MICHAEL MOORCOCKの小部屋 : News&更新情報 (2006年1月31日)」によれば、イラストレーターが天野喜孝ではなくなるという未確認情報もあるそうです。
これについては個人的な考えですが、初期の刊行当時には、天野喜孝描くエルリックは視覚面で作品を印象付けるかなり大きな役割を果たしていましたが、近年の天野喜孝氏の画風はエターナル・チャンピオンものの雰囲気と合わないように思われますので、仕方の無い部分もあるかなと思います。
MMORPGの「コルムオンライン」の話題を書いているブログの記事「CO++ Blog: CORUMの由来探り」からトラックバックが、うちの記事「Corum用無料シナリオ The Giant's Stairs」に。
「コルムオンライン」の "Corum" の由来を探しているらしいです。(「CORUM研究所:CORUMの由来」が発端だそうです)
残念ながら、うちの記事で言及している "Corum" がMMORPG「コルムオンライン」と関係あるか無いかは知りませんが、最近になって検索で「コルムオンライン」を調べていてうちのサイトが引っかかってしまったらしいアクセスが時々見られるので、一応解説めいたことを書いておきます。
「Corum用無料シナリオ The Giant's Stairs」で書いたのは、イギリスの作家(現在アメリカ在住)マイクル・ムアコック(Michael Moorcock)のヒロイック・ファンタジー小説「紅衣の公子コルム」(Corum)シリーズ、「エルリック・サーガ」(Elric)シリーズを題材にした、非電源系RPGの話です。
綴りは確かに、「コルムオンライン」(Corum Online)の "Corum" と同じですよね。
マイクル・ムアコックのヒロイック・ファンタジー小説のシリーズ、特に1961年に連作短編からスタートした「エルリック・サーガ」シリーズは、一時期、1990年代初めまでは、ヒロイック・ファンタジー小説のスタンダードの一つとして内外問わず非常に有名でした。
「紅衣の公子コルム」シリーズは、第一巻「剣の騎士」(The Knight of the Swords) の原書が1971年に出ています(第一巻の日本語翻訳は1982年に早川書房ハヤカワSF文庫から。現在日本語訳は絶版)。
最初から長編として書かれたため完成度が高いこと(第一巻、第三巻、最終第六巻が英国幻想文学賞(オーガスト・ダーレス賞)を受賞)、一部のエピソードでエルリックのシリーズとクロスオーバーすることなどから、このシリーズも人気がありました。
その後たくさんの作家がヒロイック・ファンタジー小説を書くようになったことと(1940年代からムアコックが登場する1960年代までは、ヒロイック・ファンタジー小説を書く作家は非常に少なかった)、ムアコックの作風がヒロイック・ファンタジーから離れていったことなどから、特に日本では最近の作品がまったく翻訳されず、1990年代半ばから、ムアコックの知名度は急激に下がっていってしまったのですが。
(ムアコックについて扱っている日本のサイトでは Das Wunderreich der Nacht が詳しいです。あと、英語ですが、公式ファンサイト Moorcock's Weekly Miscellany。)
そういう世界的に(特にファンタジーとSFの分野では)知名度の高い作家の作品ですので、「コルムオンライン」の製作者・関係者が「紅衣の公子コルム」シリーズを知っていて、名前だけ拝借したという可能性もあるかもしれません。想像でしかありませんけれど。
(あ、「拝借した」という言い方が誤解を生むとあれなので断っておきますが、想像が当たっていたとして、名前だけですし、こういうのは問題ないと私は思いますよ)